読書療法の勉強会・・・テーマは「孤独」
まだまだインプットすることが多くて、またしばらくブログの更新をしていませんでした・・・。
先週末は、読書療法学会の勉強会に参加しました。今回は、実際に読書療法向けの本を選書して持っていき、メンバーに紹介する・・・ということで、選書する本のテーマは「孤独」でした。
「孤独」がテーマの本はたくさんありますが、それをそのままセラピーに使えるかというとそうでもありませんし、どんな方でも抵抗なく読める本となると、かなり限られてきます。
セラピー向きの本で、且つみなさんが本屋さんで意識して見ないような本がいいなぁと思ったのですが、いろいろ考えすぎてしまい、結局、最初にテーマを聞いたときに思い浮かんだ本を持っていきました。
私がご紹介した本は
『エリック・ホッファー自伝 作品社』
エリック・ホッファーはアメリカの社会哲学者です。7歳で母親を亡くし、自分も失明。15歳のときに奇跡的に回復。「いつまた目が見えなくなるかわからないから」と猛烈に読書を始めます。
ティーンエイジャーのときに父親を亡くし、天涯孤独になります。住んでいたニューヨークのアパートを出て、カリフォルニアへ。日雇いの仕事をしながら仕事が休みの日は近くの図書館で本を読むという生活をしていました。そしていくらかお金が貯まったときに仕事を一切するのをやめて、「所持金が無くなったら死のう」と思い立ち、28歳のある日自殺をしますが未遂に終わります。
その後はあちこちで日雇いの仕事をしながら放浪、そしてサンフランシスコで港湾労働者、沖給仕となり生活をしていましたが、50代で本を出版することになり、一躍有名になります。
彼は特別な高等教育を受けたわけでもなく、「ただの若者⇒おじさん」ですし、子供のころに「ホッファー家の人たちは早死にする。あなたも40歳で死ぬだろう」と言われていて、自分が長生きするとは思っていませんでした。ですので、「何か将来大きいことをしてやろう!」などという野心もなく、仕事をして本を読み、仲間と交流する・・・淡々とした日々を過ごしています。
出版が決まったときは、さすがに「淡々と」とはいかず、やはり大きな達成感や興奮があったようですが、それは誰でも当然だと思います。
孤独が何かを創造する
(画像はpedrosimoes7 さんの作品 http://free-photos.gatag.net/2014/07/04/070000.html より )
この本が思い浮かんだあと、
「天涯孤独」
「放浪と仲間との距離」
という言葉が頭の中でくるくる回っていました。
今はSNS(ソーシャルネットワークサービス)で、友人知人がやっている活動や私生活について、アイデア出しの時点からその活動が完了するまで全部筒抜けです。
そして、ネットワーキング・・・「仲間」を囲って自分のポテンシャルカスタマーとしたり、組織化して何かをするときの「頭数」として勘定されていきます。
「人間」がたくさん集まるとこういう行動をとる人が必ず出てきますし、SNSがインフラとして使われていく中で、「マーケティングの定石」となってきておりしょうがないことなのですが、この「仲間として囲われる」ことを
「うざい!」
と思う人たちが少なからず出てきています。今回の勉強会でも何名かいらっしゃいました。私もその1人です。
普段からリアルでもたくさんの人と顔を合わせていて、直接会わないときはSNSで交流・・・となると、独りで何かを考えたり想像したりする時間がなくなります。
この「独り、1人」でいる時間を「孤独」としてネガティブに捉える人が多いようですが、頭の中で何かを作る人や組み立てる人にとっては大切な時間です。
最近はSNSを利用してたくさんの人と混じり合って何かが生み出されることを期待する方がとても多いです。ですが、その前に自分オリジナルの「アイデア」を持っていないと、ほかの人たちのアイデアと『融合』ができません。自分の軸となるアイデアがないまま、たくさんの人の中に入って行っても、他の人のアイデアに振り回されがちになります。
・・・そんなこんなで、孤独な時間を大切に感じている人たちはたくさんいますし、孤独でいることをネガティブにとらえないで欲しいと心から思います。